2025年07月31日

テラス屋根のメリット・デメリットと設置時の注意点

外構には住宅の機能やデザイン性を向上させるものがあります。

その1つが、テラス屋根です。便利な外構ですが、設置すれば必ずしも便利に使いこなせるとは限りません。

設置で発生するデメリットなどを考慮しなかったことが原因で、後悔するケースもあります。

 

今回は、そんなテラス屋根を快適に使いこなすために抑えておきたいポイントをまとめました。

テラス屋根の設置を検討中の方、特に新築と共に設置したいとお考えの方は、ぜひご覧ください。

 


テラス屋根とは

テラス屋根とは、窓や勝手口から庭・バルコニーにつながる部分に取り付ける屋根を指します。

ウッドデッキやタイルデッキを合わせて取り付けることもあります。

 

基本的に屋根と柱で構成されていますが、最近は住宅の形状や設置場所にあわせて屋根のみのタイプや独立タイプなど、さまざまなものが販売されています。

色やデザインも豊富で、新築にあわせて設置する場合、後悔しないよう家や庭に調和するものを選ぶ必要があります。

 


テラス屋根のメリット

テラス屋根には、庭やそこに配置する外構の機能を追加・向上する効果が期待できます。

設置を検討する際は、以下のメリットのうちどれを優先的に取り入れたいかを考えましょう。

 

屋外のリビングスペースとして活用できる

ウッドデッキやベランダにテラス屋根を取り付けることで、デッキを半屋外空間として活用できるようになります。

 

  • テーブルやいすを置いて団らんやバーベキュー用スペースとしての活用
  • 小さい子やペットの遊び場
  • DIYやガーデニングスペース

 

これらの活用はデッキやベランダのみでもできますが、日差しや雨の強い日だといつも通りの利用は難しいでしょう。

テラス屋根があれば、このような場合でも天候の影響を最小限にした状態で利用できます。

 

いつでも庭を便利に活用できるようになるのは、テラス屋根ならではのメリットといえるでしょう。

 

洗濯物を干すときの雨除けにできる

洗濯物を庭やベランダに干す際、テラス屋根があれば急な雨風で洗濯物が汚れたり飛ばされたりするのを予防できます。

夕立やゲリラ豪雨が心配な場合でも、安心して外に干せるのは大きなメリットです。

洗濯物を干すだけの場所としてなら、上階にもテラス屋根を設置できます。

ほしい機能などが明確なら、庭づくりの時点で相談しておけばコストを抑えつつ必要な機能を備えたものを設置できます。

テラス屋根を設置したいけど予算に不安があるなどの場合は、事前に相談しておくといいでしょう。

日光やその熱による影響を防ぐ

日当たりは庭はもちろん室内でも求められる一方、日光が入りやすい間取りは紫外線やその熱による影響を受けやすくなります。

これらの影響は熱中症などの体調不良や、フローリング・家具の日焼けなどさまざまなトラブルの原因です。

新築外構を検討する際は、日光やその熱による影響も考慮しなくてはなりません。

 

このような場合でも、テラス屋根を設置しておけば部屋に入る直射日光をある程度軽減できます。

開放的な庭・家にしたいけど日光の影響が気になるという方にもおすすめです。

 

また、部屋に直射日光が入らないようにするだけでも、室温の上昇を抑え、エアコンの効率を高める効果が期待できます。

テラス屋根は新築の室温コントロールを補助したい場合にも活用できる外構です。

 

テラスや室内の目隠しとしても便利

 

庭やテラスで過ごす際、どうしても気になるのが、隣接している住宅や道路からの視線です。テラス屋根があれば、上階や高い位置からの視線を遮ることができます。目隠しパネルを設置すれば、室内と同じように過ごすことも可能です。

 

屋根やパネルを設置すれば室内の様子が見えにくくなる効果も期待できます。

住宅が密集している地域に新しく家、特に広い窓のあるものを建てたい場合には、テラス屋根も併せて検討するといいでしょう。

 


 

テラス屋根のデメリット

さまざまなメリットがあるテラス屋根ですが、良い点ばかりの外構というわけではありません。

設置の際には以下のデメリットも発生します。メリットを最大限に活用するには、以下の内容にも注意しなくてはなりません。

雨風の音が気になる

テラス屋根は屋根材に軽くて薄い素材を使うのが一般的です。

また、柔軟性に優れた素材だと本体と留め具の間にできた隙間に風が通ることがあります。

屋根材によっては、雨があたる音や風が外構のすき間を抜ける音が騒音になります。

 

このデメリットは屋根に厚みのある素材を選ぶ・屋根材とのすき間を埋めるなどの対処法で対応できますが、完全に防ぐことは難しいです。

寝室などの騒音が気になる場所には、テラス屋根は設置しない方がいいでしょう。

 

室内に光が差さず暗くなる

テラス屋根は日よけとしても活用できる外構です。

そのため、日よけ以外の目的で設置した場合、屋根材やテラスのサイズなどによっては日当たりが悪くなる可能性があります。

 

テラス屋根の素材によっては透過性に優れたものやカラーもあるため、ある程度は日当たりを確保できますが、完全にはできません。

また、透明な素材であっても、遮光効果のある屋根材が多いため、日当たりにこだわりたい場合は注意が必要です。

 

また、テラス屋根を設置した窓は目の前に柱があるような状態になります。

奥行きが広いタイプだと屋根も視界に入るため、圧迫感を覚えることもあります。

せっかく室内の景観にこだわったのに、テラスを設置したために台無しになってしまった、というケースも珍しくはありません。

テラス屋根を設置する際は、室内からの景観や屋根による圧迫感がないかなどをチェックし、満足できるものを選びましょう。

 

 

 


テラス屋根設置時におさえておきたいポイント

テラス屋根の設置を後悔しないために、いくつかのポイントをおさえておく必要があります。

次は、テラス屋根設置時にチェックすべきポイントについて解説します。

 

まずはテラスの種類を選ぶ

一口にテラス屋根といっても、その種類は実にさまざまです。主なタイプをまとめると、以下のようになります。

 

タイプ

バリエーション

特徴

独立型

 
  • 建物へのねじ止めが必要ない
  • 住宅を傷つけず、メーカーへの確認などの手間もかからない
  • 柱が太い

壁付け型

1階用

  • 柱と屋根で構成されており、一般的に掃き出し窓の上部に設置する
  • 柱は地面に埋めてコンクリートで固定される
  • ほかのタイプに比べてサイズ展開が豊富
  • 家の壁に穴をあけて建てる関係から柱は細い傾向にある
  • 外壁や住宅保証によっては使用できない場合もある

上階用

  • 構成は1階用と同じだが、柱はベランダの腰壁に固定する
  • ベランダ屋根・バルコニー屋根とも呼ばれる

ルーフ

  • 柱がなく壁に固定する形で設置できる
  • 狭いスペースでも有効活用できるが、サイズ展開はほかに比べると少ない

 

なお、テラス屋根とよく似ている物に、オーニングがあります。

これは可動式のテントで、お店などの軒先に設置されるのが一般的です。

テラス屋根とは異なります。設置を検討する際は、混同しないようにしましょう。

 

なお、雨どいをつける場合、その放流先は水が溜まりやすくなることがあります。

設置する際はどこに水を放流するのかも含めて検討してください。

 

窓のサイズに合わせたテラスを選ぶ

テラスはサイズが製品ごとに異なります。また、テラス屋根のバリエーションによっては、適切な窓のサイズが異なります。

テラスを選ぶ際は、それぞれのサイズに合わせたものを選びましょう。

 

以下の図は、テラス屋根のタイプによって異なる窓の必要サイズをまとめたものです。

 

タイプ

間口(横幅)

出幅

高さ

1階用

  • 窓より90cm大きいサイズ
  • 洗濯物を1列で干す場合:約120㎝以上
  • 2列で干す場合:約180cm以上
  • 基本は「標準高さ(240cm程度)」で問題ない
  • ※住宅が特殊仕様で標準高さに合わない場合は「F型屋根」を選ぶ

上階用

  • ベランダの出幅にあわせる

柱なし

  • 設置環境にあわせて選ぶ
  • 一般的には約180~270cmが選ばれる
  • 隣地境界線よりも小さいサイズを選ぶ
  • 最低限の高さに設置

 

基本的に、窓よりも大きいサイズを採用します。上階用はバルコニーと窓に取り付けたシャッターのすき間がない場合もあるため、設置の際は必ず現地で確認してから選ぶようにしてください。

屋根の種類と特徴を抑えた上で選ぶ

テラス屋根は柱だけでなく屋根も複数あります。屋根は家のデザインにも影響する要素のため、後悔しないためにも適切なものを選びましょう。

 

屋根のタイプ

屋根の特徴

適している家のデザイン

雪の落ち方

R型

  • 屋根先が緩やかにカーブしている
  • やわらかい印象
  • 雨の吹き込みや日差しの差し込みを防ぐ効果が期待できる
  • 純和風
  • クラシック
  • 南欧風
  • 緩やかに落ちる

F型

  • 直線的でフラット
  • 視界がすっきりしている
  • 引き締まった印象
  • R型よりも敷地スペースを有効に使える可能性がある
  • 色調のバリエーションが豊富
  • モダン
  • シンプル
  • 傾斜によっては一気に落ちることもある

 

昔は洋風の住宅が多かった関係から、R型がよく選ばれていました。

現在はモダンなデザインが増えた影響から、F型が主流となりつつあります。

流行はありますが外構とテラス屋根がちぐはぐにならないようにするためにも、住宅のデザインにあわせて選びましょう。

 

桁の種類と特徴に注目する

テラス屋根における「桁(けた)」とは、屋根と柱をつなぐ部位です。桁は2種類あり、それぞれ特徴が異なります。

 

  • 標準桁:桁や柱は屋根の先端に位置して出幅方向には移動できない
  • 自在桁:桁や柱は屋根の先端よりも引っ込んでおり出幅方向に規定値以内で移動できる

 

標準桁は2階などの上階に設置する際、ベランダの大きさに合わせて出幅を調節して施工する必要があります。自在桁は柱の位置を移動できるため、このような加工をする手間を省けるのが特徴です。

また、屋根が伸びているため雨雪が吹き込むのを防ぐ効果も優れています。

 

屋根材は欲しい機能を意識して選ぶ

テラス屋根に使われる素材は、ポリカーボネートを採用するのが一般的です。

ポリカーボネートは防熱・防汚機能などを付与することもできます。

ただ光を通す上に強度はアルミなどと比べると弱いため、テラス屋根を設置する環境によってはアルミ材を利用することもあります。オプションを利用すれば、布のような素材で遮光することも可能です。

 

屋根材はテラス屋根のデザインにも深くかかわるため、選ぶときは機能だけでなくデザイン性にもこだわって選択しましょう。

 

ザ・ガーデンでは、柱が入るスペースや雨どいなどの配管に注意しながら適切な屋根材をご提案しています。

また、骨組みを増やして強度を強化することも可能です。ご希望の機能がある場合は、お気軽にご相談ください。

 

地域によって耐候性も忘れずに

積雪の多い地域や台風などの影響を強く受ける地域では、耐候性にも注意しなくてはなりません。

テラス屋根はメーカーごとに耐候性能が異なりますが、メーカーごとの差はほとんどありません。

 

風が強い環境では、耐風圧性能に優れているもの、特にしっかりと固定して強度を保てるものを選びましょう。

 

積雪が多い環境だと、テラス屋根自体に積もった雪には耐えられても、その上階から落ちてきた雪の衝撃に弱い場合もあります。

積雪による破損が心配なら、耐久性の低いポリカーボネートは避けた方がいいでしょう。

設置する環境によっては、テラス屋根自体を避けた方がいいケースもあります。

 

テラス本体の色は住宅にあわせる

テラス屋根と新築の色が異なると、ちぐはぐな印象を与えてしまいます。機能だけでなくデザインにもこだわりましょう。

 

例えば、柱は住宅の壁の色や柄にあわせて選択すると統一感を与えられます。

製品によっては木目調などの柄もご用意できるほか、スタイリッシュなデザインのものもあります。

 

屋根はポリカーボネートを採用する場合は、窓の色に近いものを選ぶのがおすすめです。

アルミ製品の場合、黒やシルバーなどのよりスタイリッシュ感を演出できる色を選択できます。

デザイン性にあわせて材質を選ぶのもいい選び方です。

 

なお、テラス屋根は安いものを選ぶと生活感が強く出てしまい、見栄えの印象を損なう可能性があります。

景観にこだわりたいなら、外から住宅込みで見た場合だけでなく、室内から見た場合のデザインにもこだわりましょう。

 


まとめ

テラス屋根は新築のデザインや印象にもかかわる重要な外構です。

後悔しないためにも、ほしい機能を絞り込みつつ、住宅のデザインとの統一感にもこだわりましょう。

ザ・ガーデンでは、新築外構に取り付けるテラス屋根のご相談も受け付けております。

これから新築の購入にあわせてテラスなどの設置をお考えの方は、お気軽にご相談ください。

 

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