家と庭・敷地をつなぐアプローチは、家全体の顔を構成する重要な外構です。
ここを適当に作ってしまうと、後々後悔することになります。
とはいえ、初めて庭づくりをする場合は、何に気をつけたらいいのか分からない方もいるでしょう。
そこで今回は、新築外構にあわせたおしゃれなアプローチを作るためのポイントをまとめました。家の外観に合う庭づくりをしたいと考えている方は、ぜひご覧ください。
外構のアプローチとは
外構におけるアプローチとは、以下2つをつなぐ通路のことです。
- 道路と敷地の境界
- 門回りから玄関
敷地の形状によっては駐車スペースと兼用したり、階段を設けたりすることもあります。
プライベート空間である家への導入としての役割を果たす外構であり、初めて家を訪れた人が目にする、住まいの第一印象を決める要素でもあります。
新築を庭も含めて、よりおしゃれな印象に仕上げたいなら、アプローチのデザインや配置に力を入れましょう。
おしゃれなアプローチを作るためのポイント
おしゃれなアプローチを作るには、いくつかのポイントを抑えておかなくてはなりません。
業者に依頼する際は、以下のポイントを意識しながら相談・依頼しましょう。
建物やほかの外構にあわせたコーディネート
玄関アプローチのデザインには、さまざまなテイストがあります。
素材や色も豊富で、オリジナリティの演出も容易です。
しかし、アプローチ本体のデザインにこだわりすぎて新築や外構と合わないデザインのものを選択してしまうと、悪目立ちしてしまいます。
アプローチのデザインを選ぶときは、外構を含めた新築全体のテイストから浮かないように、トータルコーディネートを意識しましょう。
アプローチの動きを意識する
アプローチは敷地の境界から家までの動きを決定する外構でもあります。
この動きは大きく2つに分けることができ、それぞれ異なる特徴を持っています。
以下の図は、アプローチの動きとその特徴を簡単にまとめたものです。
名称 |
特徴 |
メリット |
デメリット |
適したデザイン |
直線型 |
門扉から玄関までを直線的に描く |
シンプルでスタイリッシュな印象を与える |
デザインが単調になりがち |
さまざまなデザインに対応できる |
曲線型 |
門扉から玄関までを曲線的に描く |
開放的でナチュラルな印象を与えられる |
ある程度横幅が必要 |
など |
図を見ると分かる通り、それぞれメリットとデメリットがあります。
また、家や庭のテイストや敷地面積によっても相性が異なるため、注意が必要です。
同じテイストの庭でも、アプローチの動きが異なるだけで与える印象はガラッと変わります。
アプローチを選ぶ際はデザインだけでなく、玄関や敷地外に出るまでの動きにも注目しましょう。
アプローチに必要な幅を確認する
アプローチの幅も、重要な要素です。
幅が広すぎても狭すぎても不便になるため、適切な幅を確保しましょう。
一般的には、傘をさしたり、小さい子どもを連れて歩ける程度の広さがあれば問題ありません。具体的には、1.2m程度です。
なお、この幅はあくまでも目安で、家族構成や敷地面積により変動します。
実際にアプローチの幅を決定する際は、おおむね0.9〜1.8mの間で調節していきましょう。
奥行きや立体感も忘れない
アプローチは奥行きや立体感を出すことで、開放感を演出できます。
閉塞感を感じがちなクローズ外構を採用する際は、奥行きや立体感を意識したアプローチを設置しましょう。
具体的な例としては、以下の方法があります。
- アプローチに高低差をつける
- 玄関と門扉で植栽の高さを変える
- 曲線型のアプローチを採用する
どのテクニックが適切かは、新築や庭のテイストによって異なります。
業者と家や庭のテイストを相談しながら調節してください。
アプローチの色調は住宅やほかの外構にあわせる
住宅や外構のテイストに関係なくおしゃれなデザインに共通するのが、統一感です。
玄関アプローチの色調が住宅やほかの外構と異なると、ちぐはぐな印象を与えてしまいます。
アプローチのデザイン、特に色調を決定する際は、建物とほかの外構と同じ色調・明度のものを採用しましょう。
- 外壁
- 庇(ひさし)
- 屋根
- ドア
門扉は上記パーツと統一感のある色を選び、敷地から住宅につなぐ道にあたる部分にアクセントカラーを持ってくると、家や庭と調和します。
なお、アクセントとなるカラーも色調や明度を統一しておかないと、違和感を与えてしまうためご注意ください。
照明を意識して夜も完成度の高いデザインを作る
外構に設置する照明は、住宅や庭の安全性・防犯性を確保するだけのものではありません。
デザイン性を高める役割もあります。
これはアプローチも例外ではなく、うまく照明を活用できれば昼と夜で異なる姿を楽しめます。
例えば、アプローチに設置した植栽を照明で照らしたり、家までの道を間接照明で照らすなどの方法があります。
ポールライトを利用するのもいい方法です。
おしゃれで完成度の高い家や庭を手に入れたいなら、照明にもこだわりましょう。
防犯・安全対策やプライバシー確保も欠かさない
アプローチは住宅や外構を彩るだけでなく、敷地内に人やその視線が入り込むのを防ぐ役割もあります。
防犯面や安全対策も、アプローチを選ぶ上では重要なポイントです。
設置の際は、以下のような対策を欠かさず行っておきましょう。
- 門扉は施錠できるタイプを選ぶ
- 門や玄関から家の中を覗けないように位置をずらす
また、デザインや敷地の広さの関係で階段などを設置する際は、以下のような対策が必要です。
- 建材は滑りにくいものを選ぶ
- 端に滑り止めを設置する
- スロープを設置する
- 手すりを設置する
アプローチには防犯面だけでなく安全面での対策も必要です。
デザインに調和するような対策を施しましょう。
プライバシーを守る方法としては、フェンスや生垣など目隠しになるものを配置する方法が有効です。
また、ウッドデッキやタイルデッキを掃き出し窓に設置すれば、室内を見えにくくしつつ生活空間として活用できます。
カーポートのサイドパネルも位置によっては有効です。
外構を設置する際は、隣家や道路からの視線を遮る工夫をして、プライバシーを確保しましょう。
アプローチに採用される主な素材や手法
アプローチにはさまざまな素材や手法が採用されており、似たデザインでも素材や手法の違いによって受ける印象が変化します。
この素材や手法による変化を知っておくことも、おしゃれな庭づくりには必要なポイントです。
次はアプローチによく採用されている素材や手法について解説します。
これまでの内容と併せてこちらも庭づくりの参考にしてください。
コンクリート
アプローチに採用される素材のうち、もっともポピュラーなものです。
シンプルかつモダンな雰囲気に仕上げられるのが特徴で、ほかの素材に比べると手間がかからずコストを抑えられます。
注意点としては、濡れたときに滑りやすくなるため、デザインによっては滑り止めなどの工夫が必要です。
業者と相談しながら決定しましょう。
無機質になりがちな素材ですが、コンクリートの間に割栗石や植栽を配置してアクセントをつければ変化に富んだ庭を楽しめます。
機能性とデザイン性を兼ね備えた演出ができる素材です。
洗い出し
洗い出しはセメントの加工方法のひとつで、アプローチにもよく採用されています。
型などに流し込んだ建材が完全に硬化しないうちに、その表面を水洗いして小石を表面に浮き出させます。
ザラザラした表面で滑りにくく、デザイン性にも優れているため、幅広いテイストに調和するのが特徴です。
特に、上品な仕上がりにしたい場合に適しています。
建材の種類や色によっても大きく印象が変わる手法でもあり、工夫すれば個性的なアプローチにすることもできます。
ほかの手法とも組み合わせ可能です。
セメントの利点を活かしつつ個性的なデザインを採用したい場合は、洗い出しのような手法を採用することも視野に入れるといいでしょう。
インターロッキング
インターロッキングは、複数のコンクリートブロックを組み合わせる手法です。
色や形状によって、個性的なデザインを表現できます。
コンクリートでできているため、デザインだけでなく耐久性に優れているのも特徴です。
雨水が地面に浸透しやすく、防滑性に優れています。
水たまりがあると気になる場合やご家族に小さいお子様やご高齢の方がいて、足元の安全を確保したいときに、おすすめの手法といえます。
タイル
デッキなどにも採用されるタイルは、耐久性とデザイン性に優れた人気の素材です。
落ち着いた色合いのものなら和モダンなどの演出に、大理石でできた長いタイプなら優雅な洋風スタイルと、さまざまな表現ができます。
デザインだけでなく滑り止め効果や撥水機能などの機能性に優れたものもあります。
複数のタイルを組み合わせれば、おしゃれかつ安全な庭づくりも可能です。
高級感やデザイン性に優れていることから高い人気を誇りますが、コンクリートに比べると費用は高めの傾向にあります。
枕木
線路などでよく見かける枕木は、アプローチや門柱にも使われている素材です。
素朴な質感から、砂利やレンガとともによく使われています。
植物との相性がよく、外構工事はもちろんDIYでもよく使われているのも特徴です。
本物の枕木は重さがある材木のため、経年劣化する関係から、メンテナンスが必要です。
近年はこのデメリットを払しょくした製品として、軽量コンクリート製の疑似枕木も採用されるようになりました。
どちらも品質により価格差があるため、デザインに凝りたい場合は素材の価格に注意しましょう。
レンガ
温かみのある雰囲気が魅力的なレンガは、洋風やナチュラルテイストでよく採用されています。
街中で見かけることも多い素材です。
色や形状の異なるレンガ同士を組み合わせることで、シンプルから曲線を活かしたやわらかいデザインまで、自由に表現できます。
デザイン性だけでなく耐久性にも優れており、経年劣化による味わいを楽しめます。
また、植栽との相性にも優れているのも特徴です。花壇として用いることで、風合いと高低差・彩りある空間を生み出してくれます。
木や花と組み合わせたアプローチを設置したい場合におすすめです。
飛び石や平板
自然石やコンクリート製の板材は、ナチュラルからスタイリッシュまで幅広いデザインに採用されています。
シンプルながら植栽とも調和でき、石や板の配置や形状を工夫すれば、動線を美しく整えるアクセントとして活用できます。
例えば、敷地外から玄関までの道を飛び石仕様にすれば、費用を抑えつつアプローチにアクセントを加えることも可能です。
工夫次第でさまざまなデザインにできるため、予算が限られていてもデザインにこだわりたい場合に活用できる素材といえます。
石張り
石張りとは、天然石を薄く削って形を整えたものをモルタルで固めた素材であり、手法です。
自然石を使った独特の風合いが魅力で、高級感や重厚感のある雰囲気を演出できます。
石の形や色合いを組み合わせれば、オリジナリティの演出も可能です。
また、耐久性が高く長時間美しい状態を保てるのも特徴で、和風・洋風どちらにもマッチします。
個性を演出しつつ、高級感や統一感を持たせたい場合におすすめです。
砂利
砂利は家周りや駐車場などに採用されている素材ですが、アプローチにも活用できます。
アプローチに使用する場合には、豊富な種類と整った形が特徴の、化粧砂利がよく採用されています。
砂利の下に防草シートを敷いておけば、雑草対策としても有効です。
ほかの素材よりも安価なため、コンクリートや飛び石の間を埋めるのにも活用できます。
複数の素材を組み合わせて個性を演出したい場合、特に予算が限られている場合は、砂利を活用するといいでしょう。
玄関アプローチの費用相場
おしゃれな玄関アプローチを作りたいと考えたとき、費用が気になる方もいるでしょう。
玄関アプローチは設置費用やデザインだけでなく、施工範囲や材料費などによっても左右されます。
これらの目安価格を知っておくとある程度予想が付くため、事前に相場額を知っておくと安心です。
一般的に、アプローチの設置のみの費用相場としては、最低30万円からで、そこから複数の要素によって変動します。
スロープなどの設備を付ける場合はその施工費用も上乗せされるため、大体40万円以上はかかるとみておきましょう。
費用に限りがある場合やアプローチ以外に注力したい外構がある場合は、業者に予算配分を伝え、その範囲内で施工してもらうと予算トラブルを予防できます。
外構を設置するとき不安なことがあれば、どんな小さなことでも相談・確認しておくのも、後悔しない庭づくりにおける重要なポイントです。
まとめ
アプローチは家と庭の顔を担う重要な外構です。
庭づくりで後悔しないためには、ポイントをおさえながら施工を依頼する必要があります。
アプローチを設置する前に、庭全体を含めたデザインや素材などにも目を向けながら考えましょう。
ザ・ガーデンでは新築の庭づくり全般のご相談を受け付けております。アプローチの設置に関するご相談やお悩みもお任せください。